聖なる癩者―天草島原燃ゆ



聖なる癩者―天草島原燃ゆ
聖なる癩者―天草島原燃ゆ

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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ずしんと心に棲みついた作品

読んだのはかなり前なんですが、トマス舟本が深い絶望から死に場所を得るまでを描いたこの作品は忘れられないものとなりました。
ずっと考えています。まだまだ消化できていません。
重いばかりではなく、不思議と後味の爽やかさがありました。
人間として尊厳を持って死ぬことができる人間は幸せなんでしょうね。
どこか土方歳三と通じるものがあると感じたのはわたしだけでしょうか?
深い感動

迫力ある文章で、最初からぐいぐい引き込まれました。
当時の苛政やキリスト教へのすさまじい弾圧と、農民・キリスト教信者の生活ぶりや蜂起の姿、当時のパードレ(神父)・イルマン(修道士)のことなども、目の前に浮かぶように詳細に描写しており、それが読み終わったときの深い感動につながっているように思います。
一度は弾圧で転んだ信者たちが、再びキリスト教信者として立ち上がるプロセス、そこにらい者となったイルマンの関わりに作者のモチーフがあったようですが、歴史的な大きな事件を考察する文学作品として完成度の高いものだと思います。天草四郎の人物像の描き方もリアリティがあり、納得できるものでした。
「島原の乱」「キリスト教」「ハンセン病」といったキーワードで読むことはもちろん、良質の歴史小説として楽しむことのできる作品と思います。

なお本書は、かつてのキリスト教文明などでのハンセン病への偏見を背景としているが、これは現在解消されつつあることを付記しておきたい。
本書にも出てくる聖書の「ツァーラアト」は、これはヘブライ語であるが、1611年のKing James版の英訳聖書(いわゆる欽定訳聖書)においてleprosyと訳されており、我が国の聖書においても「らい病」と訳されてきた。しかし近年のキリスト教関係者などでの見解は、「ツァーラアト」は重い皮膚病のことであり、らい病(ハンセン病)ではないとされるようになっており、聖書の訳も書き換えが進められている。



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